このレポートは、2022年秋にデビューしたフォルクスワーゲンの電動車「ID.4」のデモカーを使って、遠方ロードテストを行ったものです。岐阜から高山に向かってひたすら上り続ける東海北陸自動車道。バッテリーの激しい消耗、電欠の不安など、ロードテストの結果は果たして!?
実験日は2023年6月です。
走ってきましたよ~。先日、休日を利用して行ってきました。
ちゃんと、会社には目的を説明して承諾を得たうえで、富山の往復を実行しました。
エンジン車なら特別ブログにする話題でもないのですが、今回テスト走行を行ったのは、
フォルクスワーゲンが昨秋、日本に導入したBEV「ID.4」のデモカーです。
多くの自動車メーカーがエンジン車から電動車へ移行を進めていて、ニュースなどで話題になっていますよね。もちろん、電動だけでなく次世代の燃料でエンジン車を活かすような技術もあったりして、今後どんな展開があるのか楽しみですが。
先、数年のフォルクスワーゲンまたはフォルクスワーゲングループは、「ID.4」のようなバッテリーに蓄えた電気でモーターを駆動するクルマが次々に投入される計画があります。
ただ、現状電気自動車のスペックや所有する環境をエンジン車と比べると、
例えば、
・走行距離がエンジン車に比べて少ない
・充電に時間がかかる
・充電設備が少ない
・冬、パフォーマンスが落ちる
などなど、不安要素がネックになってすんなり電気自動車を受け入れにくい現状だと思います。
確かに、モレラ岐阜の展示会でもそうでしたし、店舗でも多くの皆様が不安に思う内容は例に挙げたご意見をお持ちであるはずです。
ということで、今回少しでも現実的な長距離ドライブを行って、皆様にその一部始終をお伝えしようと考えました。
・岐阜(瑞穂市)から東海北陸自動車道と北陸道を経由して、
目的地は富山市(本社)までの片道約220km。
・富山市にある、VW富山店舗併設の急速充電を利用する
・充電後、再び同じルートで帰宅する行程です。
では、不安の中で出発した朝からの時間線で、報告させていただきますね。
出発前日に100%まで充電
「ID.4」のバッテリーは、通常80%まで引き下げられた状態がデフォルトになっています。これはバッテリーの性能を長く保つためです。ただ、今回は初めて山間部を走る長距離ドライブ。往路の上り坂で、予想以上に蓄電を消費する不安があったので、今回は前日に車両画面から80%を解除して100%充電になるように変更。現在の電費から「501km」走行可能と表示が増えて、少し気持ちが落ち着きました。
というのも、今回の走行テスト。エンジン車に慣れて乗ってきた私にとって、電気自動車の特性って、どんな結果になるのか相当不安でした。カタログ値が一回の充電で600km近く走行出来たとしても、自宅の海抜約10mから、今回の道中最高地点と思われる「松ノ木峠PA」付近が約1,050m。出発からほぼ登る一方なので、みるみるバッテリー残量が減っていかないか、今回のロードテストで最大の不安材料でした。
不安を少しでも和らげようと、走行モードを「エコ」に設定。出来る限り、バッテリーに気を使います。
そんな翌朝、自宅を出発を出発しました。
当日、弱い雨模様。節電の為「ワイパー」すら動かすのをためらいましたが、さすがに危険。そりゃ、そうだ。
オートモードで、視界を保って、インターチェンジ入口へ走らせます。ワイパーをあきらめるなら、せめてオーディオをOFFにしてエアコンも。。。
気持ちは、それほど不安だったって事です。
でも実際は、「LINKIN PARK※」を♪ボリューム↑↑アップ↑↑で聴いてましたけどね!
※アメリカのロックバンドです
「山県インターチェンジ」から入って、美濃関ジャンクションで東海北陸自動車道へ移ります。美濃インターを過ぎれば、トンネルの連続とほぼ登り坂。休憩と万が一用に、急速充電設備がある「ひるがのサービスエリア」までトラベルアシストをフルに活用して、淡々と走らせます。走行中、何度も何度も速度計の下に表示しているバッテリー残量を確認。普段ワタクシの走行は、比較的追い越し車線を必要に利用させていただきますが、今回はおとなしいものです。
ひるがのサービスエリアで、「不安解消」宣言!
無事に、ひるがのサービスエリアに到着。走行距離を確認。自宅からちょうど100kmの距離。どうもバッテリー残量に気疲れしたのか甘いものが欲しくなりました。やはり「ひるがの高原」。といえば、「ソフトクリーム」ですよね。集中力を回復させるべくペロッといただきました。
今回のテストドライブで一番問題の区間。結果は、
・走行距離 99km
・バッテリー残量 70%
・平均電費 4,7km/kWh(エンジンで言う燃費の値)
・走行可能距離 296km
うむ!もう少し悪化するのかと覚悟していたのですが、
この先、松ノ木峠まで上り坂が続くとはいえ、富山まで残り120kmほど。
OK、これなら富山まで無給電で行ける!
電気自動車にビビっていた私でしたが、早くも不安解消。
少なくとも「飛騨清美」を過ぎれば、城端サービスエリアまでは基本的に下りが続きます。
電気自動車は回生ブレーキといって、エンジン車でいうブレーキをかけて速度を調節しますが、電気自動車はブレーキをかける行為でバッテリーに充電する機能を持っていますから、下りは坂が続けば、安心して運転していられますから。
トイレ休憩を済ませて、いざ!富山へGOー。
万が一、施設の急速充電をお世話になるのではと不安でいっぱいでしたが、なんのその。
横目で、ささっと場所確認だけして、ひるがのサービスエリアを後にしました。
けっこう、「ID.4」やるじゃん
順調に東海北陸自動車道を北上します。
思った通り、飛騨清見ジャンクション以降、白川郷インターを通過、五箇山インターも過ぎた頃にはグングン「電費」が増えてバッテリー消費が抑えられているなあって実感します。
その後、順調に砺波ジャンクションから北陸道へ。
富山インターまでの北陸道は、まあ小杉インター付近に上り坂があるものの東海北陸自動車道のよう高低差は無いので、安心してゴールを目指しました。
富山インターチェンジを下りて、市内のスーパーマーケット「アルビス布施店」の駐車場をゴールとしました。
結果発表!!
・走行距離 227km(岐阜県瑞穂市→富山県富山市)
・電費 6,6km/kWh
・バッテリー残量 51%(これは素晴らしい結果!)
・残り走行可能距離 260km
結果としては、余裕でしたね。
前日から当日ひるがのサービスエリア至るまでは、相当バッテリー(電気自動車)に対して私自身ビビっていましたが、この結果は十分な”安心”をもたらしてくれました。
だって、岐阜から富山まで山間部を走ってきて、それでもバッテリー残量はまだ260km残っているんですから。
仮に、100km分はサブ電池として、差し引き160km走れるわけです。
富山から160km先の町はと、、、。
「新潟県の柏崎市」。
急速充電を使わずして、岐阜から柏崎市(距離380km)まで行けるなんて!
多分、岐阜から休憩無しで新潟県まで走り続けられる方は、少数かと思います。
となると、
多くの方は、サービスエリアで10分位、休憩しますよね。
それを5分余分に休憩して、15分で「急速充電」を利用してみましょう。
例えば、富山県の城端サービスエリアと、雨晴海岸サービスエリアの休憩2回。
これでトータル30分の充電時間。
一度に30分は待てなくとも15分ならあっという間。
あれ!?ひょっとして柏崎通過して、新潟市まで行けちゃう?
電気自動車「ID.4」。
移動の可能性が広がりました。
特に、「新潟へ行ってください」と強要しているわけでは、ありませんからね。
いや、新潟だっていいところですよ。
糸魚川に、燕三条、長岡、小千谷、村上。いいとこばかりです。
ただ、電気自動車でも遠くへ行けますよって事です。
帰路に備え、急速充電を初めて利用
そう、富山到着した際、ゴールに決めたスーパーマーケット「アルビス」。
岐阜には美濃加茂市に唯一あるお店のようですが、なかなか岐阜で市販品の入手困難なアイテム。
それが、「こぶじめ用昆布」。ネット通販でも購入できるでしょうけど。。。
自宅でお気軽に「こぶじめ」を作れるので、富山出向く機会に、これを入手したかったんです。
お目当ての品を手にして急速充電器のある、ファーレン富山店へ向かいます。
「昆布」の話題は置いときまして。
急速充電の開始方法はとても簡単です。
1、充電ノズル(ケーブル重いです)を車両にしっかりセット。
2、充電器が画面の指示に従って、QRコードやカードを読み込む
3、充電開始
以上なんです。
後は、車内貴重品を持ち出して、ドアロックをして徒歩で昼食へ移動。
急速充電は30分位が完了の目安ですので、昼食を終えて戻るころには終了しているかなあって。
で、昼食を終えて戻ってきたら、24分で充電が止まっていました。
完了は充電器の画面に表示していました。
約50%のバッテリ残量から24分で80%まで出来ちゃうんですね。
徒歩5分移動して、食事20分、で戻りの徒歩5分で合計30分。
30分って、意外と早く過ぎるものなんですね。
クルマも充電でお腹いっぱいになって(腹八分)、バッテリーに余裕が出来たことで岐阜までの帰りは笑顔。
電気自動車の特徴を往路で掴んだから、帰りは何も考えず(心配無用)出発するほどでした。
記録!記録。
帰りも記録を取りましたが、大雑把な箇所にとどめて、むしろ、やや速度を出したり、追い越しをかけたり、往路よりも、より一般的な走行を想定して走ることにしました。
しかし、「ID.4」。
今回初めて長時間の高速走行を行いましたが、
このクルマは静かです。電気自動車って、空気抵抗にこだわったメーカーが多くて、「ID.4」もそうなんですが、高速道路は快適です。
もう一つは、車両の低重心。電気自動車って、車体下に均等にバッテリーが敷かれている為、重量バランスが良くて、良くも悪くも※安定しています。「ID.4」を高速道路で走らせると、左右のふらつきがが少なくて、快適なんです。※タイトなコーナーだとちょっと車重を感じるシーンもありますけどね。
と、「ID.4」の良いところを、簡単に挙げさせていただきました。
順調な帰路。
天気は終日雨模様(富山市内は曇り)でしたが、予想以上の良い結果に、満足のワタクシです。
ドライブ中、ずーっと記録をメモしてきたデータを表にまとめてみました。
それが、下の表です。
出発点から、富山までを縦列にして、大体の通過時間、走行距離です。
バッテリ残量はスピードメーター内の数字「%」を記録。併せて走行可能距離、平均電費です。
上り坂が続く、東海北陸自動車道。みるみる、バッテリ残量が減っていくことが分かります。
最高地点の松ノ木峠パーキングエリアを過ぎると、電費が改善し、走行可能距離が増える傾向。
もう少し、悪化したデータになるのかと不安でしたが、実際落ち込みが少なかったのが、逆に安心に。
で、もう一つグラフを自作しましたのでご覧ください。
下のグラフです。
今回のテスト走行は、デモカーを借りて行いましたので、後日、社内用に簡単な報告書の提出が条件でした。
店舗長ワタナベが、少しでも若手スタッフにも分かりやすくと、私が添付した表を基に「グラフ」を自作。
グラフの精度はともかく、ザックっと確認するには十分過ぎる分かりやすさ。
店長!アリガトウゴザイヤス。
最後に
こうして、「ID.4」による長距離テストドライブが終了しました。
「電気自動車」に対して賛否は、皆さまそれぞれ思うところがあるはずですが。
それより、不確かな部分があるのなら、先ずは「実際やって、確かめる」、コレにつきます。ネットならいくらでも情報が転がっているのは承知していますが、自ら体験する事は、結果が良くも悪くも、内容を言い切れますから。私は。その価値を大切にしています。
この先、「ID.4」で確かめたいこと。
・無給電、日帰りドライブで何か所巡れる?(京都編)
もはや、電気自動車を私物化しそうな企画ですが、岐阜に住んでいて身近な観光地といえば「京都」ですよね。これくらいの日帰り旅行なら、多くの皆様が楽しんでいらっしゃると思います。だから、確かめたいのです。
・急速充電設備を頼って西へ1,000km走ったら何時間かかる?(鹿児島編)
昨年2022年の春にTDIのゴルフで実行した行程を「ID.4」で挑戦したい!企画的に許可がおりないでしょうけど。
・真冬のバッテリー。ぶっちゃけ、どうなの?
この企画は、ぜひ実現させたいです。リチウムイオン電池の弱点かなあ。
一つでも実行できそうなら、また記事に取り上げたいです。